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戦略系ケース:家電量販業界で2番手が勝つには(回答編)

公開日: : 最終更新日:2014/01/20 戦略系ケース


前回の続きです。
前回記事:戦略系ケース:家電量販業界で2番手が勝つには(お題編)

【お題】※家電量販業界について全く知らないという前提(てか私も知りません)
あなたは家電量販業界2番手の企業からコンサルティングの依頼を受けました。家電量販業界では、トップの企業がどんどん出店を伸ばす一方、2位以下の企業は値下げ競争に苦しみ利益が出ない状況が続いています。どうしたらいいでしょうか。10分考える時間を与えますので、考えてみて下さい。

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【思考例】
家電量販業界・・・知っていそうで知らない業界だな。まず、どんなことをやっている業界なのかを考えてみよう(①)。

ヤマダ電機とかビックカメラとかだよな。こういう会社は、きっとメーカーから大量に家電品を仕入れて、自分が運営する小売店で消費者に販売して、マージンをとって稼いでいるんだろう。

どういう会社が強いんだろう(②)?

消費者に売る時には、やっぱり価格が安ければ安いほど売れるんじゃないか?サービスの質とかは・・・なくはないけど、それよりは価格なんじゃないか。「立地がいいところに店舗がある」とかも重要かもしれないけど、たぶん全国で何百店舗っていう世界の話なので、個別の店舗で「この立地はいい、あの立地はだめ」みたいな勝ち負けはあるとしても、勝ち続けることはできるのかな?「各土地の不動産情報に詳しい」とか「不動産に強い社員がいる」とか「大手の商業用不動産会社と提携している」とかみたいな、あまり持続可能な差別化要因になる打ち手が思い浮かばない・・・。ここまで考えたのは、価格と立地、か。そういえば4Pの視点とかあったな(③)。ProductとPromotionが抜けてるか。でもProductは総合家電量販なんだから、白物からiPadまで手広く扱ってればそれでいいんだろ。Promotionは必要かもしれないけど、ここで差別化できるもんでもなさそうだ。「価格を安くする」には何が打ち手になるかな。こりゃ、「メーカーから安く仕入れる」だろう。「安く仕入れる」には?「圧倒的な販売力を持つことで、バーゲニングパワーを持つ」だろう。

そんで、安く仕入れて、安く売って、更に安く仕入れて、安く売って・・・。このサイクルを回すというのがこのビジネスの肝だな(④)!で、儲かった結果として「不動産に強い社員」だの「大手の商業用不動産会社と提携する」だの「広告宣伝」だのにお金を回して、有利な立地に店舗を出しまくって知名度も活かして更に売る、と。いい感じいい感じ。ちょっと、頭の整理と説明用のために絵を描いてみよう(⑤)。

直筆汚くてすみません

直筆汚くてすみません

こんな感じかな。さーてところがこのクライアントは恐らくこのサイクルがうまく回せなかったがために苦境に陥っているんだろう、と。このビジネスは「強いところが更に強くなる」式の業界だから、この路線で戦っていてもたぶん勝てないぞ。違う土俵になんとか持ち込めないか。

さて、この絵を見ながら考えてみると(⑥)、

  1. 「安く売る」には、「仕入れ」から消費者に届けるまでの物流を超最適化するという手段もあり得るな。Amazonみたいな。しかし、その具体的な打ち手はすぐには思いつかない
  2. 「店」にかかるお金を徹底的に下げるという方法もあり得るかもしれない。LCCみたいに、サービスなし・内装殺風景にして、店員の数も超少ない。その代わりめっちゃめちゃ安いとか
  3. ていうかいまどき、「店」をすっ飛ばしてネット販売に力を入れるというのもあり得る。そうすれば「店」にかかるコストをなくせる上に、立地獲得競争からは脱出できる。ほっといたら、メーカーが量販店自体をすっ飛ばして消費者に直接売り出すという脅威もあるかもしれない

そろそろ時間がない。まとめに入らなければ。とりあえず、自分のスタンスを決めよう(⑦)。1は、具体的な打ち手が思いつかない。思いついたとしても、2・3に比べると抜本感に欠けそう。2と3のメリット/デメリットを比較するという方法もあるけど、これ、両方やってもいいんじゃね?ていうか、これセットじゃね?2をやるとしても、根本的な価格優位性は3の方にあるし、メーカーの直販脅威とか、楽天みたいなネット企業が手掛けてくる脅威があるから、たぶん3は必須。しかし3のネット販売を推進するとしても、いきなり従業員の9割をクビにするわけにはいかないから、多少の段階は必要。答えは、「2で省エネノーガード激安戦法を展開しつつ、3で勝つことを目指す」だ!!しかし、「ネット販売」てありきたりだな・・・「で、どうやんの?」て絶対つっこまれるし・・・。もうひとひねり。このネット販売で大事にしなきゃいけないこと。それは、「一番手よりも安く」することだ。決して、「ネットでも売ってみようか」なノリではいけない。リアル店舗を守るような価格設定ではいけない。ネット販売が軌道に乗った時にようやく利益が出るような価格設定を最初から仕掛けてもいいかもしれない。リアルのLCC型店舗は、ネットでの価格設定とうまくバランスするレベルまでコスト削減&品質低下を推し進めるべきだ。この「バランス」を如何に成り立たせるかが、今後考えていくべきことだ。このへんの話は、質疑応答用にとっておこう(⑧)。

【回答例】

  • まず、この図をご覧下さい。家電量販業界で勝つための肝は、安く売って、安く仕入れ、更に安く売って、更に安くするサイクルを回す。儲かったお金で立地開拓・広告宣伝にも回し、更に売っていく。そうしてこのサイクルを更に加速し強化することだと考えました
  • こうしたビジネスでは、一番手の企業は更に強くなり、我々のクライアントのような二番手はどんどん窮地に立たされていってしまう。これを覆すためには、このサイクルを崩すような仕掛けを講じる必要があります
  • 3つの方向性を考えました。手掛けるのが簡単な順に、「1.Amazonのような物流最適化によるコスト革命」「2.店舗にかける内装費・維持費・人件費を極端に低くし、LCCのような価格勝負をする」「3.ネット販売に力を入れる」です。が、一番目に申し上げた施策については、具体的な切り口を考えるのが難しいということと、他の2つに比べるとインパクトが小さいと思われますので、残りの二つを中心に考えたいと思います
  • 私は、この二つはセットで推し進めるべきだと考えます。ネット販売については、メーカーまたは楽天のようなネット企業が参入してくる脅威がありますし、一番手の企業も必ずや手掛けてくると思われますので、必須です。しかし、ネット販売が育つまでには時間がかかりますので、その間に糊口を凌ぐ方策として、このLCC方省エネノーガード激安戦法も実行するべきです

【ポイント】
①:ビジネスコンサルタントですから、まずビジネスから考え始めるべきです。最悪なのは、「家電量販店の利益フレームワークは、『店舗数』×『一店舗あたり売上』−『コスト』だ~!これを更に分解して『イシューツリー』をMECEに描いていこう」というやーつです(ところがそういうやり方がコンサルチックだと勘違いしてる人、多いんですよね)
②:ビジネスコンサルタントですから、ビジネスで成功するには?を考えるべきですね
③:「モノを売るには4Pだー!」というのは最悪のフレームワークバカであって、こう、出来合いのフレームワークというのは思考の抜け漏れのチェックに使うものだぐらいに考えるべきです(参考:「フレームワーク思考」の嘘)。
④:KSFというやつですね。これがスカッと見えた瞬間は実に気持ちいいです。これがバシッと伝えられたら、その時点で結構ハイスコアだと思います
⑤:思考のクセや方法論は人それぞれかもしれませんが、私は絵を描くことが多いです。絵を描いて論点を発見して、絞って、更に線を加えて絵を進化させていくスタイルです
⑥:一回描いた絵は、面接官やクライアントとの議論、または自分の思考を発展させるためにも使えます
⑦:「スタンス」はコンサルタントにとって最も重要なものの一つです。「これとこれとこれを考えましたが、どうでしょうか?」みたいな物言いは、かなり嫌われます。間違っててもいいから、「私はこれが正しいと思います!」とバットを振り切ることが本当に大事です
⑧:質疑応答からが本当の勝負です。面接官の質問を「責め」と捉えずに。議論の種にして進化させていくことです


如何でしょうか?実際には、ここから更に質疑応答が始まります。上記の回答例は、結論の掘り下げが甘いです。「じゃあネット販売で勝つにはどうしたらいいの?」って絶対に聞かれますよ。「ネット販売」なんて、結論としてはありきたりだし。そこはそこ、また同じように考え始めればいいんです。議論しながら。「ネット販売となると、この絵がこう書き変わりますよね〜」なんて話しながら考えてもいいと思います。改めて、「ビジネスモデル」から考え始めるんです。そこがバシッとできればたぶんこれ、通ると思います。

改めて申し上げますが、上記の回答例は結論部分が甘いです。しかし、なんとなくツボをついている感じがするのではないでしょうか?とにかく、フレームワーク(笑)みたいなものにとらわれないで、ビジネスそのものを見つめて、絵を描いて、論理的に、拡げて・絞ってを繰り返して考えていくことが重要です。創造的な打ち手は思いつけばラッキーですが、それがなくても論理的に緻密に思考を展開していけば、及第点はとれるということです。

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